国内仕様大型バイク

国内仕様大型バイク

400ccを超えるバイクは、国内向けに生産しているものはほとんどない。特に750を超えるものは、警察でも教習所でも使わないので、国内仕様を生産している車種はごく少数しかない。
だが、大型バイクでも積極的に国内仕様を生産しているメーカーが一つだけある。それはHONDA。

HONDAは国内仕様の大型バイクを生産しているが故に、本来は海外への輸出分である逆輸入車が国内に流通することを嫌う。そのため、HONDAの逆輸入車を販売しようとする小売店に圧力をかけたり、逆輸入車が故障したり消耗品の交換が必要になった場合の部品の取り寄せを渋ったり、面倒な書類手続きを要求したりする。そういう嫌がらせがあるから、バイク屋で営業をやっていた友人は、HONDAの営業は各メーカー中最低だと言っていた。

しかしなんでHONDAは逆輸入車が出回ることを嫌い、国内仕様を売ろうとするのか? 輸出仕様だろうが国内仕様だろうが、生産するタマ数には変わりはないのだから、逆輸入車が売れても全然問題はないはず。むしろ、輸出仕様と国内仕様の両方の生産ラインを用意しなければならない分、国内仕様を生産するのはコスト的に不利なはずだ。



多分だが、逆輸入車は役所や特殊法人のようなところでは購入できないのではないだろうか。輸出仕様の車は、標準状態では日本の法制や自主規制をクリアしない。そこらへんをクリアするために、新車の逆輸入車は乗り出しするに際して小改造したり、申\請書類を整えたりしなければならないので、国内仕様の新車を買う場合に比べて本体価格に上乗せされる乗り出し価格が高くつく。
標準状態で日本の法をクリアしていない車両を、警察が白バイとして買えるかというと、それはまずいだろう。

HONDAがわざわざ国内仕様の生産ラインを持つのは、役所とパイプがあって、国内仕様をまとまった数で購入してくれる見込みがあるからなのではないだろうか。あとは逆輸入車が多いと、その中に海外で盗んだ車が混ざっていても分り難いというのもあるかも知れない。
とは言っても、大型バイクをまとまった数で購入する役所なんて、交通機動隊以外には思いつかないが…


2006年型までのHONDAの国内仕様の大型バイクは、小改造で輸出仕様とほぼ同じフルパワー仕様にすることができたが、2007年にモデルチェンジした型からは、エンジンの電子制御の核になるコンピュータユニットを丸ごと交換しないとフルパワー化できないようになったそうだ。つまりフルパワー化するのが手間的にも金額的にも難しくなった。

なんでも、簡単に改造できるようになっていると、バイク屋ではなく、素人の一般ユーザーが自分で改造しようとしてコンピュータを壊してしまうことが少なくなく、自分で壊したのに、クレーム扱いでメーカーに無償で直せと因縁つけてくるケースがけっこうあったとのことで、そういうクレーマーへの対策として、簡単には触れないようにしてしまったんだそうだ。
そのHONDAの言い分が本当かどうかは分らんが、自分で壊したのにクレーム扱いにする人というのはどういう分野でも一定の割合で存在するだろう。

ということで、去年までは、小改造でフルパワー化できるなら元の定価も乗り出しにかかる手数料も安い国内仕様を取りあえず買っておいて、金が出来たらフルパワーにしようと考えて国内仕様を買う人もそれなりに居たが、フルパワー化が困難になったせいで国内仕様はえらい不人気になり、ユーザーは逆輸入車を強く求めるようになったが、HONDAは逆輸入車が出回ることを嫌うので、逆車の仕入れがし難くタマ数の確保が大変。ということで、HONDAの逆車は割高な傾向にあるらしい。

フルパワーの大型車のパワーは、日本の道路事情と道交法下では使い切ることなどできないから、国内仕様のパワーで十\分なのは理性では分ってはいるが、フルパワー化が困難になったというのは、なかなか冷や水を注すような話ではある。